白く輝く太陽が燦々と大地を照らす午後。

 奇妙な男が一人、青い鳥を求めて森を彷徨う。

 走り出すと思えば急に立ち止まり、そしてまた走り出す。

 どうしても青い鳥が欲しいのだ。

 

 立派な身なりも今ではボロボロ。

 胸の勲章もぶらぶら揺れて、いたずらな小鳥達が啄む始末。

 どこまでも貪欲な男が欲しいのものはただ一つ。

 青い鳥が欲しいのだ。

 

 求めるものがすぐ手に入る生活ほど味気ないものはない。

 そのくせ求めるものがいっこうに手に入らないとイライラする。

 一国の主はせっかちで気まぐれなのだ。

 

 青い鳥は今いずこ。

 私の生活を潤し、心を癒し、幸せを呼び寄せる青い鳥よ。

 白状しよう。私は人間だ。貪欲な人間だ。しかし、私一人じゃないはずだ。